ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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変化と対応 第4回「負の範囲に関数を広げる」

教科書のページ:p103~p104

生徒に伝える評価の尺度:
ア、プリントを完成させ、x や y が負の場合や、比例定数が負の場合についても理解する。
イ、前回の復習で「比例定数とは何か」を2人の人に説明してサインをもらうこと。
ウ、問3で、「x と y の値が一組わかるときの x と y の式の求め方」を理解し、2人の人に説明してサインをもらうこと(サインは合計で4人になる)。

予想される生徒の反応:
 今回のプリントは、p103からp104の問2、問3、問4が含まれる。問3は小問が(1)と(2)があるので実質4問を50分をかけて解くことになる。実は、問4は「線香を燃やす実験」であり、解答に変域をつけなければならない。解答は y = 3x ( 0 <= x <= 40 ) だが、なぜ y = 3x になるのか、なぜ変域が 0 から 40 までに成るのかを考えなければならず、この問題が最も難しい。上の評価の尺度では、この問4には「説明する」「サインをもらう」という課題を与えていない。したがって、答えを写すだけの生徒もいるかも知れないが、同様の問題は練習問題でも扱うので、数時間かけて理解することを意図している。
 本時で、生徒がお互いに話し合わなけばならない主要な課題は、問2の(1)と(2)である。一組のx,yの値を与えて関数の式を導く問題で、重要である。なぜ、一組あれば求められるのか、どのように求めるのか、与えられた条件が変わるときに、どの部分を変更し、どの部分は不変かを、自分自身で納得し説明できなければならない。たとえば「x=8のときy=32」であれば、32割る8を実行シて比例定数は4になるが、「どうして割らなくちゃならないの?」、「どうして式が y = 4x になるの?」など、本質的な質問が多数、教室内を飛び交う。すでに理解している生徒は、表を使ったり、x と y の組み合わせをいくつも提示したり、それぞれの場合に常に割り算の結果が同じになることを示したりなど、各自工夫してい説明することが予想される。また教えられる生徒は、「あー、なるほど、だから定数っていうのかあ」など、過去にさかのぼって理解が深まることが予想される。
 時間的な配分としては、課題を与えたあと全部解ける生徒が数人出てくるまでに10分程度。その後、各自が4名に説明しサインをもらわなければならないので、授業開始30分ぐらいまでは課題を達成する生徒は増えず、指導者は「これで全員が達成できるだろうか」と心配になることが予想される。
 残りの20分で、指数関数的に課題を達成する生徒は増えるが、おそらく数人の生徒は最後まで残り、本時では「全員達成」は難しいと思われる。授業の最後では、「どうして全員が達成できなかったのか、それぞれ考えてみてください」、「ひとりも見捨てないで、全員が達成できるといいですね」、「次回の授業では、教科書の次の2ページを学習しますが、ひとりも見捨てないようにするために、皆さんができることはありますか? 各自考えてみてください」という形で終了することになろう。

板書の補足:小学校では x も y も正だった。中学校では x も y も負になる場合がある。また、比例定数も負になる場合がある。

教科書:未来へひろがる数学(啓林館)

学年:中学校1年生

(以下、毎回記載します・・・)

 文部科学省が積極的に推進しようとしてる「アクティブ・ラーニング」では、生徒が自分自身で意欲をもって学習に自主的に取り組み、お互いの意見交換を通じて、生徒が自分自身で学習内容を習得したり、解決方法を見出したりすることを重視しています。また、単に知識・理解だけでなく、「ものごとを最後までやりとげようとする。また、実際に最後までやりとげる」、「自分だけではなく、クラスの友人のことも考えながら、ともに学習をすすめようとする」、「他者を助けることを尊び、実際に協力しながら他者を助けていく」などを重視しています。

 さらに、生徒が自分自身で自分の到達度を確認・評価し、自分自身の向上のために役立てていくことが求められます。このため、生徒に示す評価の尺度は、生徒自身が理解できるような言葉でなければなりません。

 冒頭の学習内容において、もしもアクティブラーニングを実施するとしたら、どのような評価の尺度を与えるのがよいか、また、その際に予想される生徒の反応はどのようなものかについて、記載しています。「実際の授業」とは、授業の進め方などは異なる場合があります。また、「常にこのような形で授業をしている」わけではありませんので、御了承下さい。