ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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変化と対応 第10回「反比例のグラフ」

教科書のページ:p116-p118

生徒に伝える評価の尺度:

  1. 反比例のグラフで、xの値が負の範囲や、比例定数が負の場合について調べ、「反比例のグラフが2つの曲線でできている」ことを確認する。
  2. いろいろな比例定数の「反比例のグラフ」を書き、比例定数の絶対値が小さいほど、グラフが原点やx軸、y軸に近くなることを確認し、そのことを説明して2人の人からサインをもらう。

 

予想される生徒の反応:

 生徒に何台かのタブレット端末を与え、以下の動画をあらかじめ保存しておく。

 本時の授業では、反比例の関数について、xとyが両方とも整数になる点をたよりにしながら、なめらかな曲線でグラフを書くことを学習する。よくある間違いは、

  1. いくつかの点をとったあと、折れ線を書いてしまう
  2. x軸やy軸と交わってしまう。
  3. ふたつの直線が合同にならない

などである。これらは、ひとりひとりが実際にグラフを書いてみて、そのグラフを他者が点検するなかで謝りを正していくのが効率的と思われる。
 また、そもそも、双曲線のグラフをどのように書けばよいのかが分からない生徒も2割から3割程度存在する。これは、上の動画を見せて「こんな風に書くんだよ」と伝えても、「なんで、そういう風に書かなければならないのか、全然わからない」という反応で現れる。つまづいている場所はひとりひとり異なるので、個別に対応するしかないが、比較的多いのは「そもそもグラフとは何なのか」がまったく分かっていない場合である。
 比例の場合に、「この点と、この点を結んで直線をつくると、マルがもらえて点数がもらえる」という程度の理解をしている生徒は、反比例のグラフでは、どの点をどのように結べばよいのか分からなくなってしまう。
 生徒同士で教える場合には(教師が教えても同じだが)、与えられた反比例の式から対応の表を作り、その対応の表からいくつかの点をとり、それらの点だけでは折れ線になるので、間の点をとって曲線になることを示し、ということを行っている。ただし、対応の表は教師が書くような整理された表ではなくて、たんに数字がメモしてあるたけだったりするし、グラフ用紙も、手書きのグラフ用紙だったりする。
 生徒が教えるときの大きな特徴は、「同じようなことを、くり返し、くり返し、何度でも本人に話しつづける」ということである。この過程で、教える側も教えられる側も、理解が深まっていく。


板書の補足:

  • 双曲線の「双」は「双子」の意味で、まったく同じ形の曲線が2つある。
  • コンピュータの動画をよく観察して、レポートに書いてみよう。

 

教科書:未来へひろがる数学(啓林館)
学年:中学校1年生

 

(以下、毎回記載します・・・)

 文部科学省が積極的に推進しようとしてる「アクティブ・ラーニング」では、生徒が自分自身で意欲をもって学習に自主的に取り組み、お互いの意見交換を通じて、生徒が自分自身で学習内容を習得したり、解決方法を見出したりすることを重視しています。また、単に知識・理解だけでなく、「ものごとを最後までやりとげようとする。また、実際に最後までやりとげる」、「自分だけではなく、クラスの友人のことも考えながら、ともに学習をすすめようとする」、「他者を助けることを尊び、実際に協力しながら他者を助けていく」などを重視しています。

 さらに、生徒が自分自身で自分の到達度を確認・評価し、自分自身の向上のために役立てていくことが求められます。このため、生徒に示す評価の尺度は、生徒自身が理解できるような言葉でなければなりません。

 冒頭の学習内容において、もしもアクティブラーニングを実施するとしたら、どのような評価の尺度を与えるのがよいか、また、その際に予想される生徒の反応はどのようなものかについて、記載しています。「実際の授業」とは、授業の進め方などは異なる場合があります。また、「常にこのような形で授業をしている」わけではありませんので、御了承下さい。