ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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正の数・負の数 第5回「絶対値と数の大小」

教科書のページ: p17-p18

 

生徒に伝える評価の尺度:

  • 問1、問2、問3に正しく答えなさい。
  • 答えがわからない人は、答えを見ても良いです。
  • 各問について「なぜそうなるのか」という理由を、友だちに説明してください。
  • 説明に納得してもらえたら、サインをもらってください。
  • 2人の人からサインをもらったら、まだサインをもらっていない人を助けてあげてください。
  • クラスの全員が、2人ずつサインをもらったら終了です。

予想される生徒の反応:
 まず、前回の授業の最後に「4個少ない」を「-4個多い」と表現したことを確認しておく。同様に、反対の性質を持つものをプラスとマイナスで表すことを確認しておく。その後、次の順番で、生徒に話をする。

  • ア、「符号を変える」というという言葉があり、プラスがマイナスになり、マイナスがプラスになる。
  • イ、符号を変えるときには、ゼロを中心にして等しい距離の場所に、右に行ったり左に行ったりする。
  • ウ、符号を変えても、ゼロからの距離は変化しない。この距離のことを「絶対値」という。
  • エ、数は右に行けば行くほど大きくなり、左に行くほど小さくなる。
  • オ、絶対値は0に近いほど小さく、0から遠ざかるほど大きくなる。
  • カ、数の大小を表すのに、不等号の記号「<」と「>」を用いる。

 アからカまでの「話」は、合計で1分から2分ほどである。また、同様の内容は教科書にも書かれているし、プリント等で整理して与えてもよい。その後、生徒に次のように課題を与える。
 「今日の授業の目的は、符号を変えるとか、絶対値とか、大きい小さいの関係とか、不等号の記号の使い方を、クラスの全員が確実に理解することです。そのためには、皆さんが、これらの言葉をたくさん使って、どんどんお話することが一番有効です。問1から問3までの理由を、これらの言葉をつかってお互いに説明してください」
 問1から問3までの答えは、数字に符号がついたりつかなかったり、正負の符号が変わったりと、さまざまな答えがある。なぜ、そうなるのかについてお互いに話し合うことによって、符号や絶対値や大小関係について理解していく。
 なお、このときの理解を深めていく様子は、「教師の説明を黙って聞き、問題演習を通じて理解する」というときの様子とは異なっているので、最初はびっくりするかも知れない。生徒たちは、多くの言葉を、最初は雑多な形で使おうとする。読み方も使い方も理解の仕方も、ある意味ではデタラメである。しかし、30分程度話し合うことによって、すべての生徒が一人残らず、急速に「正しい読み方、正しい文章の使い方、正しい理解の仕方」に変わっていく。その様子は、まさに劇的である。複数の先生方に協力をあおいで、授業の最初と最後で生徒の言葉の使い方がどのように変化したのかを詳しく記録すると、大変興味深い結果が得られると思われる。

 

板書の補足:

絶対値の大小と、数の大小を、きちんと区別して理解しましょう。

 

教科書: 未来へひろがる数学(啓林館)
学年: 中学校1年生

 

(以下、毎回記載します・・・)

 文部科学省が積極的に推進しようとしてる「アクティブ・ラーニング」では、生徒が自分自身で意欲をもって学習に自主的に取り組み、お互いの意見交換を通じて、生徒が自分自身で学習内容を習得したり、解決方法を見出したりすることを重視しています。また、単に知識・理解だけでなく、「ものごとを最後までやりとげようとする。また、実際に最後までやりとげる」、「自分だけではなく、クラスの友人のことも考えながら、ともに学習をすすめようとする」、「他者を助けることを尊び、実際に協力しながら他者を助けていく」などを重視しています。

 さらに、生徒が自分自身で自分の到達度を確認・評価し、自分自身の向上のために役立てていくことが求められます。このため、生徒に示す評価の尺度は、生徒自身が理解できるような言葉でなければなりません。

 冒頭の学習内容において、もしもアクティブラーニングを実施するとしたら、どのような評価の尺度を与えるのがよいか、また、その際に予想される生徒の反応はどのようなものかについて、記載しています。「実際の授業」とは、授業の進め方などは異なる場合があります。また、「常にこのような形で授業をしている」わけではありませんので、御了承下さい。