ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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マルチ タスク クラスルーム

 標題は「教室の中で、たくさんの作業が並行して同時に行われ、しかもすべてが平和的にきちんと実施されている」という意味です。その様子が、なかなかすごかったので、少し書いておきます。

 

 本日は、期末テストの第1日目でした。いろいろ事情があって、本日の最後のテストの終了のチャイムが正午ちょうどに鳴ることになっていました。答案用紙を集めたりするのに数分必要です。しかし、学校全体のルールとして、その後、12:05から「帰りの会」を始め、12:15には終了させ、12:20には教室を出て下校することになっていました。

 私は、その時間は、他のクラスでテスト監督をしていました。テスト終了後に答案用紙等をチェックし、いったん職員室に答案用紙を保管してから、自分のクラスに移動しました。担任しているクラスの教室に到着したのは、12:05頃だったと思います。自分のクラスには、1年生の生徒が30名ほど居ます。その生徒たちが、教室の中で一斉に動いていました。生徒達の作業を具体的に列挙すると、次のようになります。

  • 本日、テストのあった教科のうち、3教科のワーク等を集めた。実際には、各自が自分のワークを、所定の位置に置きに行った。
  • 集めたワーク類を、男女別に名簿順に整理した。整理するのは、それぞれの教科担当の生徒が2名ずつだが、手が足りないので、もう数名がボランティア的に手伝っていた。
  • 整理したものを教室内のロッカーのうえに整理して並べた。これも、どこに何をおくべきかを、相談しながら整理して置いていった。
  • 生徒ひとりひとりが、個人用の交換日記に、文章やABCや前日の家庭学習の時間などの必要事項を記入した。
  • 日記を班ごとにあつめて担任に提出し、必要事項が記入されているかを担任が点検した。不十分な生徒には、きちんと書いてもらった。
  • クラス内で、その日に頑張った人を生活班ごとに相談して選び、名前と理由を「MVP用紙」と呼んでいる所定の用紙に記入し、学級代表生徒に提出した。その生徒が必要事項が記入されているかを点検した。

ここまでは、ワイワイやりながらの作業でした。その後、「帰りの会の司会」の生徒の合図で、全体が静かになりました。そして、

  • 時間割にそって、それぞの授業に関する連絡を行った。
  • その他の係や委員会からの連絡があれば、全体に伝えた。
  • その日の授業の様子について、学習委員会が点検結果を伝えた(本日は省略)。
  • 前日にクラス内で頑張った人について、学級内で全員が投票した結果を学級代表生徒が発表した。

という順序で、<議事>を進めていき、最後に担任が重要事項をコメントして、「さようなら」の挨拶を行いました。なお「帰りの会の司会」の生徒は、日ごとに交代することになっています。

 本日は、これらの作業を12:05頃に開始して、私がコメントするところまで進んだのは、12:16頃でした。私は「明日もテストなので頑張って勉強してください」、「交通事故にくれぐれも注意してください」(⇒これは365日、毎日言います)と伝え、「さようなら」をしました。

 「さようなら」の後、代表生徒がMVP用紙を私に提出したり、帰りの会の司会を務めた生徒が学級日誌を私に提出したり、数人の生徒がカーテンや戸締まりを行ったり机をきちんと並べたりしていました。そして、12:20には、すべての生徒が教室を後にしました。わずか10分ちょっとの時間でしたが、「マルチタスクだなあ」と、つくづく感心した次第です。

 

 4月以来、担任しているクラスでは、教科の数学の時間だけでなく、学活や道徳、諸行事の際にも『学び合い』を積極的に行っています。具体的には、「ここまでやりとげよう」という目標を示し、「はい、どうぞ」とバトンを生徒に与え、最後に「ひとりも見捨てずに、やりとげることができたか」を評価してきました。

 やるべきことの意義や到達目標をきちんと伝えると、具体的な方法は、どんどん自分達で考えるようになりました。手が足りなければ、ボランティアの生徒がどんどん手伝います。もちろん、担任は「できるときに、できる範囲のことを、できる人が、やる、というのがボランティアの基本で、そのことでお互いに助かるし、得をする」ということを、くりかえし伝えてきました。

 やがて、生徒達は複数の作業を並行して行うことができるようになり、人数がたりなければ、人員の再配置を自分達で行うようになりました。その、ひとつの到達点が、本日のような「マルチタスク」だと思います。

 さて、生徒の皆さんは、明日もテストです。ぜひ頑張ってほしいと願っています。