ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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平面図形 第7回「垂線と練習問題」

教科書のページ:p141-p142

生徒に伝える評価の尺度:

  • 垂線の作図方法を理解できた。
  • 教科書の問題をすべて解くことができた。
  • 自分の解答を他の生徒にみてもらって2名からサインをもらった。

予想される生徒の反応:
 今回の授業では、「とびらの問題」をもう一度とりあげ、その後、垂線の作図の練習を行い、そして練習問題に取り組む。「とびらの問題」は前回の授業で扱っているが、その際にはまだ基本的な作図について学習していないため、ものさしをつかって長さをはかったり、三角定規の直角を利用して垂線を作図したりしている。今回は、同じ問題をコンパスと定規を用いて作図することを求める。
 また、垂線の作図では△ABCに対して「点Aをとおり、直線BCに垂直な垂線」と、「点Cをとおり、直線BCに垂直な垂線」の作図に取り組む。生徒は、この問題に取り組むときに、「点Cをとおり、直線BCに垂直な垂線」を勘違いして、「点Cをとおり、直線ABに垂直な垂線」を作図してしまう。教師は机間巡視をして、このような作図を見つけた場合には、「あれ?答えの図と違うよ」と評価する必要がある(さもないと、授業の最後まで自分の間違えに気がつない)。何人かの生徒を評価していくうちに、生徒達のあいだに「この問題は、うっかり間違えちゃうらしいぞ」という世論が生まれるので、その後は、教師は生徒の様子をみることにする。
 作図としては、「直線の外からの垂線の作図」と「直線上の点からの垂線の作図」の二種類の作図を行うことになる。ここで点Aを中心とする円を作図するにあたり、直線BCを延長しなければならないことに配慮が必要である。このため授業の最初に口頭で注意をうながすとともに、板書のポイントにも書いておく。
 また、練習問題の「折り目」の問題では、実際に正方形を折るのが一番わかりやすいはずなので、黒板に新聞紙を利用して正方形を貼っておく。

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 しかし実際には黒板まで出てくる生徒はほとんど居ない。自分の座席で目の前で小さな正方形を折る方が、ずっと理解しやすいらしい。したがって、できれば折り紙などで小さな正方形を用意しておくのがよいかも知れない。

 今回の授業で生徒がもっともつまずくのは、「さまざまな線からできている図形のなかから、必要な部分だけを抽出すること」である。垂線であれば、直線BCと点Aだけを抽出することができれば、あとは円を3回かくだけである。しかし△ABCから直線BCと点Aを抜き出すことができない。
 また、正方形の折り目の作図では、線分MCと折り目だけを抜き出せば、折り目が線分MCの垂直二等分線になっていることは、すぐにわかる。しかし、抜き出すことができない。
 この「必要な部分を抜き出す」という作業は、板書で解説してもほとんど効果がない。わからない生徒は、「わからないから、わからない」のである。したがって、友人たちが何度もくり返し説明をしてあげることしか解決方法はない。しかも、ひとりひとりの生徒の理解度は、それぞれ異なっているので、一斉授業ではとても太刀打ちできないのである。


板書の補足:

  • 垂線や垂直二等分線や角の二等分線の作図方法を調べよう。
  • ポイント:
  • 問4では、BCを右側に延長すること。
  • [3]では、黒板の模型を利用して考えてみよう。


教科書:未来へひろがる数学(啓林館)
学年:中学校1年生

(以下、毎回記載します・・・)

 文部科学省が積極的に推進しようとしてる「アクティブ・ラーニング」では、生徒が自分自身で意欲をもって学習に自主的に取り組み、お互いの意見交換を通じて、生徒が自分自身で学習内容を習得したり、解決方法を見出したりすることを重視しています。また、単に知識・理解だけでなく、「ものごとを最後までやりとげようとする。また、実際に最後までやりとげる」、「自分だけではなく、クラスの友人のことも考えながら、ともに学習をすすめようとする」、「他者を助けることを尊び、実際に協力しながら他者を助けていく」などを重視しています。

 さらに、生徒が自分自身で自分の到達度を確認・評価し、自分自身の向上のために役立てていくことが求められます。このため、生徒に示す評価の尺度は、生徒自身が理解できるような言葉でなければなりません。

 冒頭の学習内容において、もしもアクティブラーニングを実施するとしたら、どのような評価の尺度を与えるのがよいか、また、その際に予想される生徒の反応はどのようなものかについて、記載しています。「実際の授業」とは、授業の進め方などは異なる場合があります。また、「常にこのような形で授業をしている」わけではありませんので、御了承下さい。