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平面図形 第9回「接線、接点、おうぎ形」

教科書のページ:p145-p146

生徒に伝える評価の尺度:

  • 「接する」や接線、接点という用語の意味を理解する。
  • 問5で接線を作図し、作図方法を他の生徒に説明する。
  • おうぎ形をかいてみる。「おうぎ形の中心角」について他の生徒に説明する。

予想される生徒の反応:
 教科書では、弦を移動させて、円との交点が一つになる様子を示して、「直線が円に接する」と説明している。また、弦の垂直二等分線が直径になっていることから、「接線は接点を通る半径に垂直である」と説明している。いずれも、数学的に厳密な説明とは言えないが、直感的に比較的理解しやすい説明だと思われる。

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 ところが、もしもこのことを板書だけで説明すると、「直径(半径)が弦の垂直二等分線になっている」ということと、「接線と半径は接点で垂直にまじわる」ということが、生徒のなかでつながらない。その理由は、ア、用語がぜんぜん違う。イ、図の形が違う。ウ、弦と直径が垂直に交わっていることは見てわかる生徒が多いが、接線は本時で初めて出てくるものであり、垂直に交わることがイメージできない、などである。
 問5で円周上の点を通る接線を作図するときに、垂線の作図をせずに、単に接点を通る直線を、だいたい接線になりそうな書き方で適当に書く生徒が少なくない。机間巡視をしながら「キミたちの書いた図と、答えの図は違っているよ」と指摘すると、そこで初めて答えの図を見て「ああ。そっかあ」と気づくことも多い。
 上の評価の尺度のように「◯◯について説明しなさい」という課題を与えると、説明する以前に、まず問題や答えの意味等についてきちんと理解しなければならない。その上で、どのような言葉を用いて説明すればいいかを考えることになる。
 なお、円をとおる接線は「作図しなさい」だが、おうぎ形は「かきなさい」である。したがっておうぎ形は分度器も使えるし、ラフな書き方でも許される。このように、多少ラフでもどんどん書いていけば、多くの図形に触れることができて理解も深まる。このことについても、授業の最初で全体に説明しておき、生徒がどんどん図を書くようにうながしておくとよい。

板書の補足:

  • 問4の答えは、「直線Lは弦ABの垂直二等分線になっている」です。この文章の意味をよく考えましょう。
  • 円周上の点を通る、円の接線を作図してみましょう。
  • いろいろなおうぎ形をかいてみましょう(分度器も使えます)。


教科書:未来へひろがる数学(啓林館)
学年:中学校1年生

(以下、毎回記載します・・・)

 文部科学省が積極的に推進しようとしてる「アクティブ・ラーニング」では、生徒が自分自身で意欲をもって学習に自主的に取り組み、お互いの意見交換を通じて、生徒が自分自身で学習内容を習得したり、解決方法を見出したりすることを重視しています。また、単に知識・理解だけでなく、「ものごとを最後までやりとげようとする。また、実際に最後までやりとげる」、「自分だけではなく、クラスの友人のことも考えながら、ともに学習をすすめようとする」、「他者を助けることを尊び、実際に協力しながら他者を助けていく」などを重視しています。

 さらに、生徒が自分自身で自分の到達度を確認・評価し、自分自身の向上のために役立てていくことが求められます。このため、生徒に示す評価の尺度は、生徒自身が理解できるような言葉でなければなりません。

 冒頭の学習内容において、もしもアクティブラーニングを実施するとしたら、どのような評価の尺度を与えるのがよいか、また、その際に予想される生徒の反応はどのようなものかについて、記載しています。「実際の授業」とは、授業の進め方などは異なる場合があります。また、「常にこのような形で授業をしている」わけではありませんので、御了承下さい。