ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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正の数・負の数 第8回「整数の加法(2)」

教科書のページ:p23-p24

生徒に伝える評価の尺度:

  • 数直線を用いて整数のたし算をしてみよう。
  • たし算をするときのルールを調べよう。
  • 教科書の問題(合計20問)が全部解けるようになろう。
  • 全部解けたら友だちにチェックしてもらって2人の人にサインをもらおう。

予想される生徒の反応:
 前回学習した「数直線を用いた整数の加法」から、同符号の2数の和と、異符号の2数の和に関するルール(答えの符号と、絶対値の和および差)を確認し、そのルールにもとづいて具体的な問題を解こうとする。

 本時で生徒が解く問題は、合計20問である。

 実質的に生徒が使える時間は40分程度なので、ひとつの問題を解くのに2分しかない。これだけの時間で自分自身も問題を解き、仲間とともにルールを確認し、全員が問題を解けるようになるには、いままでの「数直線を用いた方法」では、とても時間が足りない。したがって、生徒は「これでは間に合わない」と考えて、ルールを確認しそのルールを用いて問題を解こうとする。1の位から10の位への繰り上がるがあるような整数の問題では、そちらに気をとれるために肝心のルールの適用があいまいになる。このため、何度も間違ったりとまどったりということが生じる。教える側の生徒は、その様子を見ながら、間違いを正したり、数直線を用いて一緒に考えたりする。この過程を経て、数の加法に対する理解が深まるとともに、数直線の使い方についても習熟していく。
 なお、授業の最初に、「もしも自分が分からなくなったり、友だちが困ったりしたら数直線を使って考えたり説明したりしてみよう。キミたちの先輩は、そうやって理解してきたよ」と言うと効果的である。なぜならば、この時期は1年生にとって先輩は「ひかり輝く存在」なので、「先輩がそういう風にやってきたのならば、自分達も同じようにやってみよう」と考えるからである。

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板書の補足:
 同符号の場合と、異符号の場合について、表の形で整理して示す。ただし、板書について時間をかけて説明することはせず、授業の冒頭に「ポイントを黒板に書いておくから、見ておいて下さい」とだけ伝えておく。


教科書:未来へひろがる数学(啓林館)
学年:中学校1年生

 

(以下、毎回記載します・・・)

 文部科学省が積極的に推進しようとしてる「アクティブ・ラーニング」では、生徒が自分自身で意欲をもって学習に自主的に取り組み、お互いの意見交換を通じて、生徒が自分自身で学習内容を習得したり、解決方法を見出したりすることを重視しています。また、単に知識・理解だけでなく、「ものごとを最後までやりとげようとする。また、実際に最後までやりとげる」、「自分だけではなく、クラスの友人のことも考えながら、ともに学習をすすめようとする」、「他者を助けることを尊び、実際に協力しながら他者を助けていく」などを重視しています。

 さらに、生徒が自分自身で自分の到達度を確認・評価し、自分自身の向上のために役立てていくことが求められます。このため、生徒に示す評価の尺度は、生徒自身が理解できるような言葉でなければなりません。

 冒頭の学習内容において、もしもアクティブラーニングを実施するとしたら、どのような評価の尺度を与えるのがよいか、また、その際に予想される生徒の反応はどのようなものかについて、記載しています。「実際の授業」とは、授業の進め方などは異なる場合があります。また、「常にこのような形で授業をしている」わけではありませんので、御了承下さい。