ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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正の数・負の数 第11回「正の数をかけること」

教科書のページ:

 p30~p31


生徒に伝える評価の尺度:

  • プリントの問題をすべて解いて、丸つけしなさい。
  • 間違いは、なおしなさい。
  • 教科書に「負の数 X 正の数は、絶対値の積に負の符号をつける」と書いてあります。この文章の意味を200字以内でノートに書きなさい。2人に説明して納得してもらったらサインをもらいなさい。


予想される生徒の反応:

 本時は、正負の数の加法・減法の練習問題とともに、乗法の導入を学習する。練習問題は、合計13問ある。これ以外に、負の整数 X 正の整数 の問題が3問あり、合計16問である。
 したがって「プリントの問題をすべて解いて」という言葉には、加法・減法の計算を含んでいる。つまり、加法・減法については、これで4時間連続で、学級全体で取り組んでいることになる。
 教科書の問題の配列は、大変うまくできていて、このように何度かアクティブ・ラーニングの授業を行うと、ちゃんとすべての分野をカバーできるようになっている。

 さて、乗法については、(負の数) X (正の数) は「あたりまえ」と考えてしまいそうになるが、画像でも示しているとおり、実は中学校で初めて学習する。そこで、小学校での学習と対比させながら、負の数の積を導入する。
 このあたりの学習については、「数学が苦手な生徒に対して、教師が直接指導する」ということではなく、「数学の苦手な生徒に対して、まわりの生徒が教えるための道具を提供する」という色彩が強い。数学な得意な生徒は、どのような方法であれ、正負の数の乗法をあっという間に理解してしまう。しかし、苦手な生徒は、なかなか納得できない。納得できない生徒に対して、「こういう道具もあるよ」といういろいろなツールを提供することが、教師には求められていると思う。
 アクティブ・ラーニングの授業をつくるというのは、教師のこような「ちょっとしたアドバイス」が、生徒の中で拡大していって、教室全体に学習が広がっていくような「しくみ」を構築することである。

 いつものように、教科書の文章の意味を、数学の得意な生徒も苦手な生徒も、自分自身の言葉で説明することを求めていく。このようにして、生徒は次の学習に取り組むための「言葉のツール」を手に入れていくのである。


板書の補足:

  • 2X3は、「2を3回足すこと」「数直線で2を3倍にのばすこと」
  • -2X3は、「-2を3回足すこと」「数直線で-2を3倍にのばすこと」


教科書:

 未来へひろがる数学(啓林館)


学年:

 中学校1年生

 

(以下、毎回記載します・・・)

 文部科学省が積極的に推進しようとしてる「アクティブ・ラーニング」では、生徒が自分自身で意欲をもって学習に自主的に取り組み、お互いの意見交換を通じて、生徒が自分自身で学習内容を習得したり、解決方法を見出したりすることを重視しています。また、単に知識・理解だけでなく、「ものごとを最後までやりとげようとする。また、実際に最後までやりとげる」、「自分だけではなく、クラスの友人のことも考えながら、ともに学習をすすめようとする」、「他者を助けることを尊び、実際に協力しながら他者を助けていく」などを重視しています。

 さらに、生徒が自分自身で自分の到達度を確認・評価し、自分自身の向上のために役立てていくことが求められます。このため、生徒に示す評価の尺度は、生徒自身が理解できるような言葉でなければなりません。

 冒頭の学習内容において、もしもアクティブラーニングを実施するとしたら、どのような評価の尺度を与えるのがよいか、また、その際に予想される生徒の反応はどのようなものかについて、記載しています。「実際の授業」とは、授業の進め方などは異なる場合があります。また、「常にこのような形で授業をしている」わけではありませんので、御了承下さい。

 

 

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