ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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「うん。わかった。じゃあ、聞かなくてもいいかな?」

 以下のお話は、アクティブ・ラーニングというよりは、生徒指導的な話かと思いますが、書いておきます。

 アクティブ・ラーニングの授業を毎日実施し、また「朝の会」や「帰りの会」、学級活動、道徳でも実施していくと、よい意味での生徒同士の交流が密になります。困っていることがあれば相談しますし、悩んでいることがあれば相談します。そして、生徒同士でなんとか解決しようと頑張ります。「ひとりも見捨てない」というメッセージを、何度も伝えていくうちに、生徒たちは、ちゃんと「ひとりも見捨てない」ということを実践してくれます。

 もちろん、学級担任として、可能な限り生徒のそばにいて、そっと見守るということは欠かせません。生徒達が自分たちで動くからといって、放任することはありえません。黒子のように、そっと見守ることはずっと続けます。

 こんな風に指導していると、生徒たちはお互いに相談することが多くなりますから、「自分が悩んでいることや困っていること」を、どんどん外に出すことになります。そばにいる私(=教師)は、見守るだけなので、生徒たちは私のことが次第に気にならなくなります。こうして、生徒たちは悩んでいる顔や困っている顔を、ますます素直に表現するようになります。ただし、それは私に対してではなく、学級の仲間に対してです。

 悩んでいる顔や困っている顔をみると、指導したくなるのは、実は私も同じです。なにしろ、教師というのは原則として「おせっかいやき」で「面倒をみるのが大好き」ですから、どうしても指導したくなります。でも、面倒ばかりみていたら、生徒は育ちません。悩んだり、苦労するなかで、生徒はさまざまなことを学んでいくと思います。

 そこで、生徒が困っている顔をしたり、悩んでいる顔をしているときには、私は次のように接しています。

 

 ■ ■ ■ 

先生 「実は、あなたの様子をみていると、少し、悩んでいるんじゃないかと思うんだけど、大丈夫かな?」(にこにこしながら)

生徒 「大丈夫です」(普通の表情)

先生 「そうなの?。 だけど、今日、昼間、◯◯◯さんと話をしていたときの顔は深刻そうだったよ。大丈夫なのかい?」(にこにこしながら)

生徒 「大丈夫です」(普通の表情)

先生 「そっかあ。じゃあ、◯◯◯さんと何を話していたのかは、教えてもらえないかな?」(にこにこしながら)

生徒 「ハイ。たいしたことは話していません」(普通の表情)

先生 「そっかあ。じゃあ、私が勝手に心配しているだけで、たいしたことはないんだね?」(にこにこしながら)

生徒 「ハイ。大丈夫です」(少し、にこにこ)

先生 「じゃあ、根掘り葉掘り聞かないけど、いいかな?」(にこにこしながら)

生徒 「ハイ。大丈夫です」(それなりに、にこにこ)

先生 「うん。わかった。じゃあ、もしもヤバイなって思ったら、そのときは相談してもらえるとありがたいなあ。いいだろうか?」(にこにこしながら)

生徒 「ハイ。わかりました」(そこそこ、にこにこ)

先生 「うん。じゃあ、今日は、これでサヨウナラですね」(にこにこしながら)

生徒 「ハイ。サヨウナラ」(にこにこ)

 

という具合です。ポイントを書きますと、

  • 「心配している」というメッセージをつたえる。
  • 「いつでも助ける」というセーフティーネットを示す。
  • 「根掘り葉掘り聞かない」というプライバシーを尊重する姿勢を示す。
  • 「まかせて成長を期待する」というメッセージをつたえる。

ということだろうと思います。