ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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正の数・負の数 第13回「除法、練習問題」

  • _教科書のページ:

 p34-p35

生徒に伝える評価の尺度:

  • 「乗法」「除法」の読み方と漢字と意味をおぼえましょう。
  • 正の数や負の数でわるときのルールをおぼえましょう。
  • 問題をすべて解き、きちんと丸つけしましょう。
  • なぜ「0でわることはできない」のか、説明を考えましょう。
  • その説明を2人の人に説明して納得してもらったらサインをもらいましょう。

予想される生徒の反応:

 乗法と除法の計算のルールはよく似ているので、馴れるのにそんなに時間は必要ないが、しかし「こういうルールになっている」、「こういう言い方や書き方をする」ということは、省略せずに全員がきちんと確認する必要がある。
 もしも一斉授業で確認するとしたら、とにかく板書して説明するしか方法がないだろうし、説明した後で「わかったかい?」と聞くしかない。こういう場面では、生徒は「わからない」とは言いにくく、たとえ言ったとしても、教師は同じ説明を繰り返すぐらいしか方法がない。
 アクティブ・ラーニングでは、ひとりひとりの生徒の実態に合わせて、さまざまな説明を試みることが可能であるから、理解するまでの時間も結果的に短くなるし、じっくりと深いところまで理解することが可能になる。

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 また、本時では合計22問の練習問題に取り組む。これも、一斉授業では、せいぜい10問程度に取り組むことが精一杯だが、アクティブ・ラーニングであれば「全部やりとげよう」ということに挑戦することができる。

 さて、「0で割ることができない」ということについては、比較的数学が得意な生徒でもきちんと論証することは難しいので、私は、早めに生徒に声をかけ、「どうだろう。なにかいい考えは思いつくかな?」と聞いてみることにしている。
 生徒が「ぜんぜん思いつかない」と言うようであれば、「実は、こうするとうまく説明できるよ」ということを、さっさと説明していまう。具体的には、つぎのとおりである。

  • 除法は、乗法の逆だということを確認する。
  • 6 = 3 x 2 と 6 ÷ 3 = 2 を上下に並べて、数字の位置は変わらず、x と ÷ の記号だけが変わることを確認する。
  • 0 = 0 x 2 と 0 = 0 x 3 の2つの式から
    0 ÷ 0 = 2 と 0 ÷ 0 = 3 という2つの式をつくる。
  • 「答えがひとつに決まらないと困るよね」と確認する

 クラスの中で3人ほどの生徒にこれを伝えておくと、あとは自然に情報が拡散していく。ただし、上の説明が「納得できない」生徒も当然存在する。このような生徒に対しては、とりあえず本時では「とにかく0で割ったらダメなんだよ」という程度の理解でとどめておく。

 「0で割ることはできない」ということ自体は、今後も、繰り返し指導していくことになる。

板書の補足:

  • 負の数 ÷ 正の数 絶対値の商に負の符号をつける
  • 正の数 ÷ 負の数 絶対値の商に負の符号をつける
  • 負の数 ÷ 負の数 絶対値の商に正の符号をつける

教科書:

 未来へひろがる数学(啓林館)

学年:

 中学校1年生

(以下、毎回記載します・・・)

 文部科学省が積極的に推進しようとしてる「アクティブ・ラーニング」では、生徒が自分自身で意欲をもって学習に自主的に取り組み、お互いの意見交換を通じて、生徒が自分自身で学習内容を習得したり、解決方法を見出したりすることを重視しています。また、単に知識・理解だけでなく、「ものごとを最後までやりとげようとする。また、実際に最後までやりとげる」、「自分だけではなく、クラスの友人のことも考えながら、ともに学習をすすめようとする」、「他者を助けることを尊び、実際に協力しながら他者を助けていく」などを重視しています。

 さらに、生徒が自分自身で自分の到達度を確認・評価し、自分自身の向上のために役立てていくことが求められます。このため、生徒に示す評価の尺度は、生徒自身が理解できるような言葉でなければなりません。

 冒頭の学習内容において、もしもアクティブラーニングを実施するとしたら、どのような評価の尺度を与えるのがよいか、また、その際に予想される生徒の反応はどのようなものかについて、記載しています。「実際の授業」とは、授業の進め方などは異なる場合があります。また、「常にこのような形で授業をしている」わけではありませんので、御了承下さい。