ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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正の数・負の数 第17回「分配法則、数のひろがり」

教科書のページ:

p42-p44

生徒に伝える評価の尺度:

分配法則を使う場合と使わない場合と、どちらが計算が楽になるか確認した。
「計算がいつでもできる」ところに◯を記入し、その理由が説明できた。
教科書の問いと練習問題をすべて解き、丸付けをして間違いをなくした。
問題は、各自が自分で計算して答えを出すこと。

予想される生徒の反応:

分配法則について学習し、「分配法則を利用すると、計算が楽になる場合がある」ことを学習する。また、四則演算が可能な場合について調べ、自然数、整数、数全体(実際には有理数全体)の場合について、計算可能性がひろがっていくことを確認する。

分配法則については、「なんとなく分配法則が成り立つらしい」というところまでは、あまり苦労せずに到達できる。しかし「分配法則を利用する計算が楽になる」ということについては、きちんと理解することが難しい。なぜなら、ア、二通りの計算方法についてそれぞれ結果を出す。イ、ふたつの結果が等しくなることを確認する。ウ、どちらが計算が「楽」なのかを確認する、ということをやらなければならないからである。

ところが、数学が得意な生徒は、教わらなくても「分配法則の便利さ」を知っている。このことを学習する必要があるのは、比較的数学が苦手な生徒だが、そういう生徒は、そもそも「二通りの計算結果を比較する」こと自体が困難である。つまり、数の計算そのものが苦手なのである。

このような「苦手な生徒」に対しては、それぞれのやり方について、ていねいに計算方法を教えていく必要がある。板書による一斉指導では、ていねいに計算方法を教えることは、難しい。

そこで、アクティブ・ラーニングの手法を用いて、ひとつひとつの計算をていねいに行い、全員が納得できるまで、お互いに説明し合うことが有効である。

四則演算の可能性についても、「すべての」という言葉が難しいので、同様に話し合うことが有効である。


板書の補足:

分配法則について
二通りの方法で計算し、それぞれ答えを出す。
答えが同じになることを確認する。
どちらの計算方法が楽なのか考える。

教科書:

未来へひろがる数学(啓林館)

学年:

中学校1年生

(以下、毎回記載します・・・)

文部科学省が積極的に推進しようとしてる「アクティブ・ラーニング」では、生徒が自分自身で意欲をもって学習に自主的に取り組み、お互いの意見交換を通じて、生徒が自分自身で学習内容を習得したり、解決方法を見出したりすることを重視しています。また、単に知識・理解だけでなく、「ものごとを最後までやりとげようとする。また、実際に最後までやりとげる」、「自分だけではなく、クラスの友人のことも考えながら、ともに学習をすすめようとする」、「他者を助けることを尊び、実際に協力しながら他者を助けていく」などを重視しています。

さらに、生徒が自分自身で自分の到達度を確認・評価し、自分自身の向上のために役立てていくことが求められます。このため、生徒に示す評価の尺度は、生徒自身が理解できるような言葉でなければなりません。

冒頭の学習内容において、もしもアクティブラーニングを実施するとしたら、どのような評価の尺度を与えるのがよいか、また、その際に予想される生徒の反応はどのようなものかについて、記載しています。「実際の授業」とは、授業の進め方などは異なる場合があります。また、「常にこのような形で授業をしている」わけではありませんので、御了承下さい。

文責:高瀬浩之

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