ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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叱る、怒る

1か月に1回程度ですが、「怒る」こともあります。

怒る原因となるのは、特定の個人であったり、小集団であったりすることが多いです。原因はいろいろですが、ふざけているなど、「あからさまに、本来の活動とは異なることを、意図的にやっている」場合がほとんどだと思います。

彼らがそのような行動に出るのは、ほぼ確実に「自分のことを、注目してほしい」です。まさに、これ見よがしに、ふてぶてしい行動をしますので、見ている方(つまり私)としては、ムカムカするわけです。でも、彼らの目的は「先生をムカムカさせて、怒らせる」ことですから、こちらがムカムカして怒ってしまったら、彼らの思うがままです。したがって、そういう彼らの手に乗ることは、原則としてしません。

ただ、アクティブ・ラーニング型の活動をしていると、生徒たちは、自分たちの学習に夢中になってしまって、こういう「自分のことを注目してほしい」生徒のことを見落とすことがあります。そうすると、注目してほしい生徒は、ますます、ふざける度合いを強める可能性があります。私としては、「おーい、ひとりも見捨てないようにしてくれよー」などと、大きな声でつぶやいたり、あるいは、ふざけている生徒の近く移動したりして、いろいろな策を講じるのですが、うまくいかないときは、うまくいきません。

そこで、ある程度のレベルを超えると(⇒この「ある程度」を上手に文章化するのは難しいです)、普段と声の調子を変えて「話をやめて、自分の席に戻りなさい」と言います(生徒によると、「こういうときのセンセイは、ものすごくコワイ」のだそうです)。これが「怒る」です。

このあとの話は、毎回、だいたい同じです。話しの内容を列挙すると、次のようになります。

 

  1. 私は、怒っています。
  2. 私は、クラス全体に対して怒っています。
  3. 今日の課題は、黒板に、ああいうふうに書いてあります。
  4. ところが、具体的な事実として、◯◯さんと◯◯さんについて、◯◯ということがありました。
  5. 私はずっと見ていたのですが、まわりの人は「いっしょにやろうよ」とも言わないし、何もしていなかったと思います。だれか、そういうふうにしてくれた人はいますか。居たら、教えてください。
  6. ということは、皆さんは、「ひとりも見捨てない」を守ってないと思います。
  7. 私は、先生ですから、だれか一人でも見捨てられている状態を放置できません。だから、こういう風に怒っています。クラス全体に対して怒っています。
  8. 皆さんのクラスのことですから、皆さんでなんとかしてほしいのですが、どうしますか(⇒「ちゃんとみんなでやります」みたいなことを誰かが言う)。
  9. だったら、ちゃんと、ひとりも見捨てずに、やるべきことをやりとげてください。
  10. 作業を再開してください。

 

所要時間は、長くても5分です。ふざけたりしていた◯◯くんや◯◯さんに対しては直接は叱らずに(あるいは怒らずに)、学級全体に対して「学級全体の問題である」という伝え方をします。

「こういう事実があった」ということを学級全体に伝えて、「それを放置している学級全体は、いったい何をしているのか」と、学級全体を叱ります。したがって、その「事実」のモトになっている生徒が、「じゃあ、先生、こうすればいいのかなあ・・・」なんてことを言ったりします(つまり、本人は自分に非があると、あまり感じていない)。

まわりは一瞬「おめーが、遊んでるから、こうなるんだよ」という顔をしますが、私は、「なるほど、そういう考えもあるなあ」と、とぼけて賛同してみたりします。
 
本人と学級の生徒の学習がきちんと成立すること。ひとりひとりの違いも含めて認めて、「ひとりも見捨てない」を実現すること。将来、自分の力で生きていく力を身につけていくこと。もちろん、法律に定められた教育の目的を達成し、また学校の教育目標を実現していくこと、が大切であって、そこに至る課程はいろいろあるだろうなと思っています。そう考えながらの、「コラっっ」です。

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