ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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「その方法の核となるのがアクティブ・ラーニングである」

無藤隆先生は、現役の中央教育審議会の第6期中央審議会委員です。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/meibo/1301903.htm

10月12日に、無藤先生は「教育課程企画特別部会における論点整理」というノートを発表されましたので、御紹介します。
https://goo.gl/Hv6OV9

標題のアクティブラーニングに関する部分のみ、引用します。

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次期学習指導要領が目指す育成すべき資質・能力を育むためには、学びの量と共に、質や深まりが重要である。主体的・協働的な問題発見・解決の場面を経験して思考力等を磨いていき、また個別の知識や技能もそういった経験で活用する中で定着し、既存の知識や技能と関連づけられ体系化されながら身についていく。さらに、こうした学びを推進するエンジンとなるのは学びに向かう力であり、子どもたちの学びへの興味と努力し続ける意志を喚起する必要がある。まさにそのためにこそ、「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び(「アクティブ・ラーニング」)を進めるのである。

ではどうしたらよいのか。それは学力の3要素を、上記の三つの柱に沿いつつ、高めていくことであり、その方法の核となるのがアクティブ・ラーニングである。そのポイントは、学力の3要素を相互に絡め、循環していく学習過程を作り出すことである。どれかの柱のみが大事だというのではなく、どれもが重要であり、しかも相互に関連づけることで、その部分も伸びていく。

その第一が深い学びである。習得・活用・探究という学習プロセスのサイクルを回していく。知識・技能を習得したら、それを問題解決や探究活動に活用し、また、そこで得た考えを具体的な知識・技能に落とし込んでいく。資質・能力の三つの柱が総合的に発揮される場面を作っていく。知識・技能が相互に結びつき、体系化されていく中で、物事の深い理解とそこでの思考する力が伸びていく。

第二が対話的な学びである。対話とは自分の考えを表現し、それをさらに深めることと、他の子どもや教師などとやりとりすることの双方を言っている。むしろ正確には、それぞれの考えを言葉その他に言ったり書いたりして表し、それを介して、対話することが生産的な方向を作り出す。自分の考えを詳しく吟味し直せるし、また他の子どもや大人がそれに反応し、自分たちの考えを提起することで、協働が成り立ち、考えを広げていくことが出来る。多様な視点がそこで交流される。

第三は主体的な学びである。主体的に学習する態度の形成とは意欲さらに意志を育てることを中心に考えるのであるが、そのやり方として、子どもが自らの学習活動を振り返り、次への目当てを作ることや、今後の学習の見通しを持って粘り強く学習活動に取り組むのである。振り返り意味づけることにより、知識・技能の自覚化が進み、他の人と共有したりするようになる。自分に取って、また他の人や社会に取って、さらに将来において重要で意味あることだと思うから、頑張って、粘り強く取り組み、自分のものとしていけるのである。メタ認知に支えられつつ、意欲をさらに意志へと高めていく。そういった学びに向かう力を育てることは学校教育の重要な一面であることを認識したい。
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