ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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平面図形 第4回「回転移動、対称移動」

 

教科書のページ:p134-p135

生徒に伝える評価の尺度:

  • 問4から問7を正しく解き、丸つけすること。
  • 「回転移動とは? 点対称移動とは? 対称移動とは?」について、合計で200文字以内で説明をまとめ、各自、ノートに記録すること。

予想される生徒の反応:
 新しい用語として「回転移動」「回転の中心」「点対称移動」「対称移動」「対称の軸」が出てくる。また、教科書の説明文の中に「一定の角度」「対応する点」「距離が等しく」「結んでできた角」「移り合う図形」「線対称」「垂直に交わり」「交点で2等分される」という数学的な用語が多数あらわれる。

 これらの用語は、生徒にとって日常生活では使わない用語であり、おぼろげに意味は理解できても正確な理解には至っていない。実際に、授業で「言葉の意味がわかるという自信がある人は手を挙げて下さい」と質問しても、数人しか手が挙がらない。ということは、どんなにおおく見積もっても、全体の30%程度しか「わかっていない」ということである。

 だからといって、教師が黒板でくり返し説明すれば分かるかというと、生徒は眠くなるばかりで理解はすすまない。なによりも「聞いただけの説明」は、しばらくすると記憶から消えてしまう。

 ところが、問題を解きながら、生徒同士がこれらの用語を用いてお互いに説明し合うようにすると、ほどなく正しい用語の使い方ができるようになり、また説明も次第に簡潔なものになっていく。評価の尺度で述べた「200文字以内の説明」を作成させるというのは有効な手段で、教科書の記述等を参考にしながらそれぞれが説明文を書いていくが、書かれた文章はほぼ正しい文章であるし、字数を制限することによって冗長な説明にならずに簡潔に書かれるようになる。

 ただし、ときどき「説明を忘れる」場合がある。すなわち、回転移動と点対称移動と対称移動の3つについて書かなければならないが、最初の2つだけ書いて、3つ目を忘れているような場合である。生徒同士でチェックしていて発見された場合には、生徒は自主的に書きなおそうとするので放っておく(ちゃんと時間内に書き直す)。教師が発見してしまった場合には、「最初の2つはしっかり書かれているからこれでいいよ。3つ目の説明だけ、友だちの書いたものを参考にして書いてごらん」という程度にまで課題を軽減してあげても良いだろうと思われる。

板書の補足:

  • 回転移動、点対称移動、対称移動について調べ、数学的な用語を用いて説明できるようになろう。
  • 実際に、図形をそれぞれ移動させてみて、理解を深めよう。

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教科書:未来へひろがる数学(啓林館)
学年:中学校1年生

 

(以下、毎回記載します・・・)

 文部科学省が積極的に推進しようとしてる「アクティブ・ラーニング」では、生徒が自分自身で意欲をもって学習に自主的に取り組み、お互いの意見交換を通じて、生徒が自分自身で学習内容を習得したり、解決方法を見出したりすることを重視しています。また、単に知識・理解だけでなく、「ものごとを最後までやりとげようとする。また、実際に最後までやりとげる」、「自分だけではなく、クラスの友人のことも考えながら、ともに学習をすすめようとする」、「他者を助けることを尊び、実際に協力しながら他者を助けていく」などを重視しています。

 さらに、生徒が自分自身で自分の到達度を確認・評価し、自分自身の向上のために役立てていくことが求められます。このため、生徒に示す評価の尺度は、生徒自身が理解できるような言葉でなければなりません。

 冒頭の学習内容において、もしもアクティブラーニングを実施するとしたら、どのような評価の尺度を与えるのがよいか、また、その際に予想される生徒の反応はどのようなものかについて、記載しています。「実際の授業」とは、授業の進め方などは異なる場合があります。また、「常にこのような形で授業をしている」わけではありませんので、御了承下さい。