平面図形 第10回「円周率、円周、円の面積」
教科書のページ:
p147-p149
生徒に伝える評価の尺度:
- 円周率を「π」で表し、文字式の書き方にしたがって式をかけるようになる。
- おうぎ形の中心角を用いて、そのおうぎ形がもとの円の何倍になるのか計算できるようになる。
- おうぎ形の弧の長さや面積が求め方を理解し、2人の人に説明してサインもらう。
予想される生徒の反応:
小学校で「3.14」と暗記していた円周率が実はもっと細かい数値になることを「説明」し、記述を簡潔にするために今後は「π」を用いることを伝える。生徒は「ふううん」と聞いているが、本来は、「なぜそのような細かい数値になるのか」、「そんな細かい数値をどのようにして求めたのか」などの疑問を持って欲しいところである。
このあたりの疑問や意見が、アクティブ・ラーニングの場面で生徒から発せられるか注意深く観察しているのが、残念ながらこのような発言に出会ったことがない。私自身の発問の方法等に改善が必要な部分かもしれない。
さて、円周率をπで表すと、他の文字と同様に文字式の表し方の規則にしたがって、簡潔に計算ができるようになる。しかし、本時では、まだ最初の段階なので、とりあえずπという文字に慣れることを主眼とする。
文字が一種類増えただけで、いままで理解してきたことがガラガラと崩れてしまうような生徒もいるので、教師も生徒同士も、時間をかけて何度も数式を書いたり、その意味を確認したりする作業が必要である。
おうぎ形の弧の長さや面積については、たとえば中心角が120度であれば、もとの円の3分の1になる。このことは、大人であれば(あるいは教師であれば)ほとんど瞬間的に理解できることであるが、生徒は、そもそも、なぜ3分の1になるのかが分からないことが多い。そこで、120/360という式を約分して1/3を求めていく。
ここで、120/360という式を機械的に使うだけでなく、「実際には1/3になるのだ」という感覚を養っていくことが大切である。したがって、数式とともに図も書いていくなど、小学校の算数の学習を振り返ることができるようなヒントを与えていく必要がある。
これらのヒントを使うか、それとも使わずに理解してしまうのかは、個々の生徒によって異なる。ひとりひとりの理解の道筋は異なるが、ひとりのこらず生徒が十分な理解に到達できるように、教室中を見ていることが重要である。
板書の補足:
- 「何倍」を求めるために、次のような方法があります。
- この考え方を用いて、おうぎ形の弧の長さや面積を求めましょう。
教科書:
未来へひろがる数学(啓林館)
学年:
中学校1年生
(以下、毎回記載します・・・)
文部科学省が積極的に推進しようとしてる「アクティブ・ラーニング」では、生徒が自分自身で意欲をもって学習に自主的に取り組み、お互いの意見交換を通じて、生徒が自分自身で学習内容を習得したり、解決方法を見出したりすることを重視しています。また、単に知識・理解だけでなく、「ものごとを最後までやりとげようとする。また、実際に最後までやりとげる」、「自分だけではなく、クラスの友人のことも考えながら、ともに学習をすすめようとする」、「他者を助けることを尊び、実際に協力しながら他者を助けていく」などを重視しています。
さらに、生徒が自分自身で自分の到達度を確認・評価し、自分自身の向上のために役立てていくことが求められます。このため、生徒に示す評価の尺度は、生徒自身が理解できるような言葉でなければなりません。
冒頭の学習内容において、もしもアクティブラーニングを実施するとしたら、どのような評価の尺度を与えるのがよいか、また、その際に予想される生徒の反応はどのようなものかについて、記載しています。「実際の授業」とは、授業の進め方などは異なる場合があります。また、「常にこのような形で授業をしている」わけではありませんので、御了承下さい。