ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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文字の式 第9回「式の加法、減法」

教科書のページ:

p63-p63

 

生徒に伝える評価の尺度:

  • それぞれの問題で、式が2つずつ書いてあるので、「足したときの式」と「引いたときの式」をそれぞれノートに書きなさい。
  • カッコをはずし、それぞれの式を簡単にしなさい。
  • 問題を全部解いて丸付けし、間違いをなおしなさい。
  • ノートを友達に見てもらって、間違いがないか確認してもらい、サインもらいなさい。
  • サインが2人になったら、黒板に丸をつけなさい。

 

予想される生徒の反応:

前時では、与えられた式を簡単にすることを学習したが、本時では、1)もともと2つの式がある。2)その式を足したりひいたりする。3)その結果、複雑な式ができるので、前時に学習したことを活用して簡単にする。ということを学習する。
「もともと、式が2つある」と考えて、それぞれの式を「ひとまとまりもの」ととらえることが重要である。これは「式全体をひとつのものと捉えて、全体でなにかひとつの事柄を表す」という理解につながる。

また、2つの式をひくときには、「ひく式」のカッコの前にマイナスの記号(引き算の記号)が現れる。そこで、次のような指示を与える。

 

「今日の学習の一番のポイントは、このカッコの前の引き算です。ここには、(-1)が隠れています。したがって、この(-1)を分配法則で全部にかけ算しなければなりません。
そうすると、後ろの式の「+」と「-」は、すべて逆になってしまいます。このことに注意して計算をしてください。
では、作業開始」

 

また、上の「評価の尺度」にも書いたとおり、与えられた2つの式から、計算すべき式をつくり、その式をノートに書くという作業が必要になる。実は、本時の授業までは、「教科書にちょこっと書くだけで答えが出せる」程度の問題しか扱っていない。しかし、2つの式を足したり引いたりするためには、その式をきちんとノートに書き、その後、きちんと計算していくという作業が必要になる。

この作業を通じて、次第に、生徒は「きちんとノートを書いていくことは、便利で間違いが減るものだ」ということを感じていく。これは、生徒が自分で発見して、自分で納得していった方が、定着しやすい。先生がキレイな板書を書き、生徒がキレイに写すだけでは、「なぜ、そのような書かなければならないのか」を納得できないのである。大変残念なことに、「ものすごくノートがキレイな生徒」は、数学の成績かあまりよくない場合が少なくない。これは、ノートを美的に写すことに専念し、肝心の数学的な思考がともなっていないことが原因である。

板書の補足:

-(3x+4) = +(-1)(3x+4) = -3x - 4
(-1)を分配すると、全部マイナスになります。

教科書:

未来へひろがる数学(啓林館)

学年:

中学校1年生

(以下、毎回記載します・・・)

文部科学省が積極的に推進しようとしてる「アクティブ・ラーニング」では、生徒が自分自身で意欲をもって学習に自主的に取り組み、お互いの意見交換を通じて、生徒が自分自身で学習内容を習得したり、解決方法を見出したりすることを重視しています。また、単に知識・理解だけでなく、「ものごとを最後までやりとげようとする。また、実際に最後までやりとげる」、「自分だけではなく、クラスの友人のことも考えながら、ともに学習をすすめようとする」、「他者を助けることを尊び、実際に協力しながら他者を助けていく」などを重視しています。

さらに、生徒が自分自身で自分の到達度を確認・評価し、自分自身の向上のために役立てていくことが求められます。このため、生徒に示す評価の尺度は、生徒自身が理解できるような言葉でなければなりません。

冒頭の学習内容において、もしもアクティブラーニングを実施するとしたら、どのような評価の尺度を与えるのがよいか、また、その際に予想される生徒の反応はどのようなものかについて、記載しています。「実際の授業」とは、授業の進め方などは異なる場合があります。また、「常にこのような形で授業をしている」わけではありませんので、御了承下さい。

文責:高瀬浩之

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