ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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もうすぐ合唱コンクール

合唱コンクールまで、あとわずかです。どのクラスも一所懸命に、合唱の練習に取り組んでいます。練習に励んでいる生徒たちの様子を見ていると、数年前に同じ学年だった、新採用2年目の若い先生のことを思い出します。

 

その若先生は、前年度は副担任で、担任を受け持つのは、その年が最初でした。なにしろ初めてですから、朝の会でも、道徳でも、学級活動でも、すべてがたどたどしく、そのためか、生徒たちもちょっと羽目をはずすことが多く、日々の指導について学年の先生たちから、「こうするといいよ」、「ここを改善するといいよ」と毎日、アドバイスをもらっていました。

 

大変素直で一所懸命な若先生は、あいかわらずたどたどしいのですが、アドバイスを一所懸命に聞いて頑張っていました。でも、うまくいかないときは、やっぱりうまくいかないので、ときどきクシュンとしていることもありました。

 

合唱コンクールに向けても、初めて担任するクラスの男子の一部と女子の一部が真面目に練習に参加してくれません。クラスの人間関係もギクシャクしてしまい、日々悩んでいる様子でした。それでも、若先生は大きな声で怒鳴ることもなく、地道に頑張っていました。そんななか、コンクールまで残り2週間という時期に、放課後、若先生と少しおしゃべりする時間がありました。

 

わたし 「どうですか。うまくいってますか?」

若先生 「もう、全然ダメです。ボロボロです・・・。」

わたし 「そうかなあ。たしかに問題もあるみたいだけど、若先生は、すごくニコニコしているようにも見えるんだけどなあ。嬉しいことも、あるんじゃないの?」

若先生 「ハイ。実は、今年は居場所があるんです」

わたし 「居場所って?」

若先生 「去年は、副担任だったので、体育祭のときも合唱コンクールのときも、ああ、みんな頑張ってるなあ。でも自分はどこに居ればいいのかなあ。って思っていたんです。でも今年は、自分のクラスに居なければならないし、そこが居場所なんです」

わたし 「なるほどねえ。若先生は、正直なところ、自分のクラスの合唱がうまくいっていないって感じてるんでしょ?」

若先生 「ハイ。うまくいってません」

わたし 「でも、若先生は、自分のクラスの生徒たちが一所懸命に頑張っているのが、とても好きでしょ?」

若先生 「ハイ。そうなんです。大好きなんです」

わたし 「若先生が、自分のクラスのことを大好きだってことは、オレが見ていてもすごく伝わってくるんだ。生徒たちにもその気持ちは、ちゃんと伝わっていると思う。だから、きっと大丈夫だよ」

 

わたしはニコニコしながらお話したのですが、若先生は、もしかすると、ちょっと目をウルウルさせていたかもしれません。「ハイ、がんばります」と言って、また自分の仕事を再開していました。

 

★★★

 

さて、私が担当する数学の授業では、生徒は誰ひとりとして余計なことをしません。授業中、休むことなく、自分たちで努力して、ひとり残らず全員が課題を達成するように頑張っています。

 

ところが合唱コンクールの練習になると、ふざける人が居たり、ちゃんと歌わなかったり、時間どおりに集まらなかったりと、トラブルを抱えていることがあります。

 

そこで、授業の最後に、「みなさんは、数学の時間だとこういう風に協力できるのに、合唱コンクールの練習だと、なかなかうまくいかないみたいだね。数学のときには、男女関係なしに全員が協力できているんだから、歌練習でもきっとできると思うよ。たぶん、キーワードは、<ひとりも見捨てない>だと思う。だれかひとりでも見捨てられる人がいたら、クラスの合唱にならないよね。いろいろ工夫して頑張ってみてね。期待しているよ」と、語っています。

 

我々教師は、チームとして学年の指導にあたっています。どのクラスにも合唱コンクールを頑張ってほしい。そういう気持ちを込めて、自分が学級担任のクラスでも、それ以外のクラスでも、同じように語っています。

 

みんな、頑張ってくださいね。