ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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変化と対応 第8回「反比例、比例定数」

教科書のページ:p112-p114

生徒に伝える評価の尺度:

  1. 練習問題[2]で、(1)~(4)の式が、グラフ用紙の5本の直線のうちのどれに対応するのか、理由をつけて説明し、2人の人からサインをもらうこと。
  2. 反比例の比例定数が「xとyが変化しても、変わらない」ことを確認し、なぜそうなるのかを理由をつけて説明し、2人の人からサインをもらうこと。
  3. プリントの問題をすべて正しく解き、丸付けをすること。

予想される生徒の反応:
 前回の授業では、練習問題のうち[1]のみを扱っているので、今回は練習問題[2]から学習を開始する。ここでは、比例の式とグラフの直線との対応関係を考える。任意に選んだグラフ上の点から、それぞれ比例定数を求めることができ、それがそのままxの係数に等しくなることを、4つの比例関数について確認していく。この対応関係については、「なぜ、この式がこの直線に対応するのか」という事柄を、他の生徒に説明しなければならない。生徒は、まず「どれがどれに対応するのか、全然わからない」という状態から出発し、グラフ上の原点以外の点に注目することを学ぶ。このとき、グラフ用紙の点の座標を読み取る作業を行うので、座標の考え方や、x座標、y座標のとらえかたについてもくり返し復習することになる。点の座標がわかると次に式に当てはめることになるが、「なぜ代入しなければならないのか」「なぜ等号が成り立つと、友人は喜ぶのか」など、次々に疑問が生まれる。これらの疑問をひとつひとつ、互いに学び合うことで解決していく。
 特に、自分の隣で「あ、これだ!これだ!」と友人が喜んでいるときには、「なんで、コイツは喜んでいるんだろう」と怪訝そうな顔をする生徒が多数生まれる。怪訝そうな表情は、ただちに「オレも、わかるまで頑張る」という意欲につながり、やがて「あ、オレもわかった」という喜びにつながることが多い。

 練習問題を終えた生徒は、反比例について学習する。反比例の場合にも「xやyが変化しても、変化しない定数が存在する」ことを理解する。そして、この定数を比例定数と呼ぶことを学習する。ここで、xとyが比例する場合に「比例定数」と言うのは自然だが、反比例の場合にも「比例定数」と呼ぶことには、違和感を覚えるはずである。しかし、どちらも「xやyが変化しても、変わらない」という共通の性質を持っており、このようなものを「定数」と呼ぶという事柄(※)を、比例と反比例を対比させながら学習していくことになる。
 生徒に与える評価の尺度では、上の(※)に焦点をあて、他の生徒に説明しながら、自分自身の理解を深めていくようにした。このことにより、「そういう数字を、比例定数と言うんだ」と連呼する生徒が多数うまれるが、これでは説明になっていないし、実際に「オレは、わからない」という生徒もたくさんいる。そこで、いったん対応の表にもどり(板書によりヒントを与えている)、x と y をかけ算しても積は不変であることを再確認していく。

板書の補足:
反比例の表。y = 12/x の表を、x = -3 から x = 12 まで板書した。
その下に「xとyが変化しても、変わらないものは何かな?」と板書した。

教科書:未来へひろがる数学(啓林館)
学年:中学校1年生

(以下、毎回記載します・・・)

 文部科学省が積極的に推進しようとしてる「アクティブ・ラーニング」では、生徒が自分自身で意欲をもって学習に自主的に取り組み、お互いの意見交換を通じて、生徒が自分自身で学習内容を習得したり、解決方法を見出したりすることを重視しています。また、単に知識・理解だけでなく、「ものごとを最後までやりとげようとする。また、実際に最後までやりとげる」、「自分だけではなく、クラスの友人のことも考えながら、ともに学習をすすめようとする」、「他者を助けることを尊び、実際に協力しながら他者を助けていく」などを重視しています。

 さらに、生徒が自分自身で自分の到達度を確認・評価し、自分自身の向上のために役立てていくことが求められます。このため、生徒に示す評価の尺度は、生徒自身が理解できるような言葉でなければなりません。

 冒頭の学習内容において、もしもアクティブラーニングを実施するとしたら、どのような評価の尺度を与えるのがよいか、また、その際に予想される生徒の反応はどのようなものかについて、記載しています。「実際の授業」とは、授業の進め方などは異なる場合があります。また、「常にこのような形で授業をしている」わけではありませんので、御了承下さい。