ひとりも見捨てないことを、あきらめない

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文字の式 第3回「文字式の表し方」

教科書のページ:

p52~p53

生徒に伝える評価の尺度:

  • 文字式の表し方のルール(6つ)を覚える。
  • 問1~問6までの問題を解き、丸付けをする。
  • 自分で「この問題は難しい」と思う問題を2つ選ぶ
  • その2つを、他の人に説明して納得してもらったらサインをもらう。
  • 2人からサインをもらったら黒板に◯をつける。
  • クラス全員が◯になるようにする。


予想される生徒の反応:

文字式を簡潔に表す方法についての学習である。ルールを覚え、そのルールどおりに文字式を書いていくだけであるが、すでに塾で勉強している生徒、すぐにルールを理解して正解できる生徒、ルールは理解できるがうっかり間違ってしまう生徒、ルールの意味がよくわからない生徒など、ひとりひとりの理解の程度は異なっている。問題数も、全部で20問なので比較的多い。「できる生徒」がすべて解いて他の生徒を教えるために動き始めるのが、授業開始後15分程度になるだろうから、「全然わからない生徒」に残された時間は多くて30分程度である。したがって、1問あたり1分30秒で解答しなければならない。

ただし「文字式の表し方」は「数学の言葉の修得」であるから、内容が分からなくても、繰り返し同じような内容に触れることによって、次第に(自然と)理解が深まっていく。

たとえば、今回の問題のなかに「aXaXb」とか「cXcXc」などが含まれている。これらは当然指数を用いて表現するが、指数自体も中学校に入学してから学習する内容である。しかし、何度か指数に触れているうちに、生徒は自然に指数の使い方を覚えてしまう。あるいは「数に対する指数」の学習ではよく理解できなかった生徒が、本時の「文字に対する指数」を学習した時点で、急に以前の学習も含めて理解してしまうこともある。

このあたりの理解の道筋は生徒によって大きく異なるため、教師が一方的に「このように理解しなさい」と伝えてもあまり意味がない。

したがって、教師のやるべきことは「この時間では、この問題が解けるようになるように努力してもらいたい。ただし、理解の仕方はいろいろなので、学習の仕方は皆さんに任せる」と伝えることであろう。その方が、生徒は自由に、主体的に学習に取り組むことが可能になる。

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板書の補足:

  • 文字式の表し方の6つのルール
  • 1 かけ算のXは省略する
  • 2 文字と数の積では、数が前
  • 3 同じ文字の積は指数を使う
  • 4 割り算は、÷を使わない
  • 5 1Xaは、たんにaとする
  • 6 -1Xaは、-aとする

教科書:

未来へひろがる数学(啓林館)

学年:

中学校1年生

(以下、毎回記載します・・・)

文部科学省が積極的に推進しようとしてる「アクティブ・ラーニング」では、生徒が自分自身で意欲をもって学習に自主的に取り組み、お互いの意見交換を通じて、生徒が自分自身で学習内容を習得したり、解決方法を見出したりすることを重視しています。また、単に知識・理解だけでなく、「ものごとを最後までやりとげようとする。また、実際に最後までやりとげる」、「自分だけではなく、クラスの友人のことも考えながら、ともに学習をすすめようとする」、「他者を助けることを尊び、実際に協力しながら他者を助けていく」などを重視しています。

さらに、生徒が自分自身で自分の到達度を確認・評価し、自分自身の向上のために役立てていくことが求められます。このため、生徒に示す評価の尺度は、生徒自身が理解できるような言葉でなければなりません。

冒頭の学習内容において、もしもアクティブラーニングを実施するとしたら、どのような評価の尺度を与えるのがよいか、また、その際に予想される生徒の反応はどのようなものかについて、記載しています。「実際の授業」とは、授業の進め方などは異なる場合があります。また、「常にこのような形で授業をしている」わけではありませんので、御了承下さい。

文責:高瀬浩之